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もっと安全に電力を供給する方法

カーギルは、環境にやさしいエネルギーを確実に供給する手段として、誘電性流体の製法としては意外な製法を開発しています。

January 01, 2015

安全で効率良く電力が供給できて、しかも環境負荷の軽い手段を見つけようと、世界中の電力会社は日夜取り組んでいます。変圧器の絶縁体には鉱油が広く使われていますが、その代用品に対する関心が高まっています(変圧器とは、回路から回路へと電気エネルギーを変換する装置のことです)。鉱油は 30 年にわたって最も一般的な絶縁流体として使われてきましたが、問題もたくさんありました。可燃性が高い、洗浄が大変、魚と野生生物にとって有毒といった問題です。

カーギルは真っ先に新たなアイディアを打ち出しました。それは植物油による代用です。カーギルは、きれいで再生可能な、天然由来のエステルを鉱油の代わりに用いることで、環境にやさしいだけでなく性能もアップした電気絶縁油の開発に取りかかりました。

カーギルは 1998 年に、高電圧変圧器用の電気絶縁油「Envirotemp™ FR3™」を商品化しました。性能は鉱油と比べて遜色がなく、しかも主成分には大豆油が用いられていました。Envirotemp™ FR3™ を使い始めた企業はすぐにそのメリットに気づきました。Envirotemp FR3 は燃焼点が鉱油の 2 倍あるため、火災の危険が大幅に下がります。また、Envirotemp FR3 を充填した変圧器は、鉱油を充填した変圧器に比べて最大で 20% 高い容量に対処できるという特長もあります。さらに、変圧器の絶縁紙は鉱油に比べて 5 ~ 8 倍の期間にわたって保護されるため、それだけ変圧器の寿命が延びます。土壌や水中に溶け出しても毒性がなく無害であることが立証されていて、最終的には生分解作用によって自然に還るため、ドイツの送電系統事業者であるTransnetBW 社のように二酸化炭素排出量を気にかけている企業にとって大きなメリットとなります。

「バイオオイルを使った変圧器は、技術的な進歩や性能という点についてだけでなく、人間と環境とを守るという点でも指標となります。」
— ライナー・ヨスビク氏、TransnetBW 社 CEO

カーギルは Envirotemp FR3 の開発が認められ、2013 年に米国環境保護庁から栄えあるグリーンケミストリー大統領賞を授与されました。Envirotemp FR3 は現在、6 大陸合わせて 75 万台あまりの変圧器に使われていて、家庭から病院に至るあらゆる施設への電力供給に効果を発揮するとともに、電力供給の経済性と環境安全性を上げるための道を開いています。

Envirotemp FR3 Inpage Envirotemp FR3 に使われる大豆油は、従来変圧器に使われてきた鉱油よりも高い温度に耐えるため、機器の腐食を防ぐことができます。